商品パッケージにおける商標の表示方法の解説

商品パッケージへの商標表示による商標活用

【スタッフ視点の知財ブログ(17)】

8月の後半となってきましたが、まだまだ暑い日が続きそうです。

ただし、新型コロナウィルスの感染者が増加していることにより、
どこに行くにしてもマスクが手ばせない状態
になっています。

そこで、今回は、
マスクをしてもこの時期の暑苦しさを低減できるということで、
スタッフNさんが
マスクのお供にしている「ハッカ油」について紹介してもらい
その「ハッカ油」のパッケージに記載された商標権を例にして、
商品パッケージにおける商標の表示方法ついて説明していきます。

これを読むことで、

  • 「ハッカ油」のパッケージに記載されている商標権としては、会社名に関する商標が取得されていること。
  • 商品名である「ハッカ油」は、普通名称であり、商標権を取ることが難しいこと。
  • 商品名が普通名称なら、商標権があることを記載しておくだけでも良いこと。
    その際には、消費者が勝手に商品名に商標権があると思い込む場合があること。
    商品名に商標権があれば、当然にそのことを明記することが望ましいこと。

が理解できるようになります。
少しでも知財の力を活用していただければ幸いです。

マスクをしても暑い夏を快適に過ごす方法とは?

スタッフNさん

スタッフNです。

猛暑日が続いていますね。

今年はコロナ感染対策のマスクを常に着用しているため口元が蒸れ、例年より更に暑く感じます。
熱中症対策をしつつ、コロナ感染対策も….大変な夏となりましたね。

気温が上昇するにつれ、私がマスクの着用と併用して毎日使用しているアイテムが
株式会社北見薄荷通商「ハッカ油」です。

ハッカ油表パッケージ

この「ハッカ油」をマスクの外側にひと吹きかけるだけで
一気に冷涼感と爽快感が得られるので
今年の夏は
マスクと共にバックに必ず入っている手放せないアイテムなのです。

花粉症とアレルギー鼻炎持ちの私には、鼻づまりも同時に緩和してくれ、
まさに一石二鳥

やはり、今夏はマスク着用の常用化で、この「ハッカ油」
例年の15倍の売り上げだそうです。
15倍ってすごいですよね。
よくドラッグストアで見かけていたこの商品、
今夏は売り切れ続出であまり見なくなったのもこの数字を聞くと納得です。

製造卸・製品卸売元である株式会社北見薄荷通商は、
ハッカ油パッケージ裏この「ハッカ油」に関して登録商標を3つ保有しているようです。
ハッカ油の箱(パッケージ)には商標登録番号がしっかり記載されています。

特許事務所に勤務している私が言うのもなんですが、
「ハッカ油」は、特に、身体に身近なものですので、
商標権が多く付されていると、
それだけ品質にとても安心を感じますね

商品パッケージにおける商標の表示方法の解説

株式会社北見薄荷通商の取得している商標はどれ?

弁理士須藤弁理士須藤:夏場は、マスクをつけているだけで汗が出て不快な状況になります。
その点で、この「ハッカ油」を使用すれば、ミントの匂いで、
冷涼感と爽快感とが得られえて、
感じる暑さを和らげることができそうですね。
・・・
さて、株式会社北見薄荷通商が商標権を取得しているのは、
このパッケージの記載内容のうちのどの部分だと思いますか?

スタッフNさんスタッフN:もちろん、この場合は商品の名前である「ハッカ油」ですよね?
でも、商標権が3つあるのですから、1つは、会社名ですか?
あと一つは何でしょうかね???

弁理士須藤

弁理士須藤:実は、上記パッケージに記載されている商標の内容は、次の3つなのです。

 

登録番号 商標 区分 商品・サービス
第1959140号 北見薄荷通商 第3類、第30類 せっけん類、食品香料、など
第4259054号 北見ハッカ通商 第1類 化学品、など
第4283687号 北見ハッカ通商 第3類 せっけん類、など

つまり、いずれも会社名に関連した商標であり、「ハッカ油」は商標登録されていないのです。
ついでに言ってしまうと、「ハッカ油」のガラス瓶の貼られたシール上の㈱北見ハッカ通商の表示のうち、
北見ハッカ通商」の部分が商標権の部分ですが、
「北のかおり」ハッカ油」「ハッカの葉っぱの図形とpeppermintとが一体になった図形」
いずれも商標登録されていません。

スタッフNさんスタッフN:えー、そうなんですか?
私は、てっきり「ハッカ油」が登録されているものだと思っていました。

名前である「ハッカ油」については商標権が取れる?取れない?

弁理士須藤

弁理士須藤:じゃ、「ハッカ油」について、出願したら商標登録されると思いますか?

 

スタッフNさんスタッフN:そういわれると、
・・・・
登録できないのですよね。
・・・・
でも、ハッカなら、できるような気もしますが・・・・

弁理士須藤

弁理士須藤この場合、商品がハッカ油に対して、商標「ハッカ油」を取ろうとすることになります。
つまり、商品「アップル」に対して、その普通名称である「アップル」という商標を取ろうとするのと同じなので無理なのです。
ちなみに、ハッカと一部色を変えても、さらに言えば、「ハッカ油」と読めるような画像にしても
登録されないと考えてください。
商標は、
外観(見た目)称呼(読み、音)観念(意味)のいずれかが、
既にある名称や登録商標と同一か類似していれば、基本的には、登録されないことになっています。

ちなみに、株式会社北見薄荷通商は、
これまで12件の商標出願をしています(特許情報プラットフォームによる検索2020年8月17日)。
ハッカ油
実は、
上述した「ハッカの葉っぱの図形とpeppermintとが一体になった図形」については、
株式会社北見薄荷通商により商標登録(第4299793号)されているのです(右図)。

ただし、商品は、勿論「ハッカ油」ではありません。
理由は、
「ハッカの葉っぱの図形とpeppermintとが一体になった図形」は、
普通にハッカ油の意味を表しているにすぎないからです。
つまり、「ハッカの葉っぱの図形とpeppermintとが一体になった図形」の商標は、
まったく異なる商品(第21類 ガラス基礎製品(建築用のものを除く。)に対して取得されたものなので、
Nさんが紹介した商品には使用されないものなのです。

スタッフNさんスタッフN:じゃ、どうして、
「ハッカの葉っぱの図形とpeppermintとが一体になった図形」の商標を取得したのでしょうか?

弁理士須藤

弁理士須藤あくまで推測ですが、
株式会社北見薄荷通商は、結果的に、
ハッカ油を入れる容器に、「ハッカの葉っぱの図形とpeppermintとが一体になった図形」をつけて販売することを考えたのかもしれません。
あるいは、他社にそのような行為させないために、上記商標権を取得した可能性があります。

パッケージへの効果的な商標の表示方法とは?

スタッフNさんスタッフN「ハッカ油」の商標権を株式会社北見薄荷通商が有していると思っていたので、
ちょっとショックですね・・・・

弁理士須藤

弁理士須藤そうかもしれないですが、
逆に言えば、株式会社北見薄荷通商は、普通名称である「ハッカ油」のネーミングに対して

消費者にその権利を持っていると思わせることができたともいえます。
この点で、株式会社北見薄荷通商も、ある意味ではうまい表示方法を選択したのかもしれません。
勿論、
商標の登録番号をパッケージの裏側に単に記載して、どれが登録商標に該当するかを特定しないでおくことは、
別に悪いことではなく、普通といえば普通かもしれませんが・・・

スタッフNさんスタッフN:確かにその通りです・・・・
・・・
じゃ、
もっと効果的な商標の表示方法があるはずですよね。
どんな形態になるのでしょうか?

弁理士須藤

弁理士須藤そうですね。
通常、商品パッケージの表側には、
商品名と、キャッチコピーと、商品内容(効能など)が示される
ことが多いですね。
このうち、一番覚えてもらいたいものについて、少なくとも商標権を取得することが好ましいのです。
一番覚えてもらいたいものは、ほとんどが商品名であり、一番目立つように表示されます
(勿論、一番目立つべきものが、会社名だったり、複数の商品に共通する商品群のネーミングだったり、効能だったりすることもありますが・・)。
即ち、商品名に対して商標権を取得することが、より効果的なのです。

以下に、参考として、商品パッケージの例をいくつか示します。
ここで、登録商標に対しては、ほぼ®を付しています
(ただし、いずれも登録番号までの記載はなく、イソジンを除いて、®の意味すら記載していない状態ですが)。
また、商標として使用することを意図している部分には、TM(イソジンにて)を付しています。

商品 ®有  ®有 ®,TM有 ®有 ®有 ®無
登録番号 第2079012号 第2212232号 第584989号
第5806639号
第5333335号
第4924604号 第5592842号
登録商標の部分 カットバン パスタイム イソジン ムヒ
ムヒ
ナイシトール
ナイシトール(出願中)
セイロガン

これらのこれまでの商品パッケージを参考として、お客様から相談があった際には、
一番覚えてもらいたいものがなんであるか?
一番目立だせたいものはなんであるか?
を観点にして、商標出願の相談に乗ることも大変重要です。

まとめ

商品パッケージにおける商標の表示方法について、次の点の解説をしてきました。

  • 「ハッカ油」のパッケージに記載されている商標権としては、会社名に関する商標が取得されていること。
  • 商品名である「ハッカ油」は、普通名称であり、商標権を取ることが難しいこと。
  • 商品名が普通名称なら、商標権があることを記載しておくだけでも良いこと。
    その際には、消費者が勝手に商品名に商標権があると思い込む場合があること。
    商品名に商標権があれば、当然にそのことを明記することが望ましいこと。

もし、わからない部分や疑問点などありましたら、お気軽にぜひコメントまたはお問い合わせください。

なお、アイキャッチ画像は、 蒲鉾さちこさんによる写真ACからの写真 からの写真です。

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