「下町ロケット第1話」を特許の観点でかみしめる?

下町ロケット第1話

弁理士(特許の専門家)の須藤が、個人的な独断に基づき、感想などを以下お伝えします。

あの大ヒットの下町ロケットが帰ってきましたね。

実は、私は、見逃してしまったのです。

しかし、自分が

  • 少年時代に宇宙に憧れていたこと、
  • 実家が農家で農業の実態もよくわかっていること、

から急きょ、ブログに書いてみようと思い立ちました!

小さい頃宇宙に憧れ、農家出身で、元メーカ技術者で弁理士(特許の専門家)の立場から、

  • 単純な疑問点
  • 用語の解釈

を中心に、私なりに解説しながら下町ロケットの魅力に迫りたいと思います!

あらすじ

TBSのサイトに記載されている内容をそのまま、以下に記載します。

元宇宙科学開発機構の研究員で、ロケットの打ち上げ失敗の責任をとって辞職し、現在は父親が遺した下町の工場「佃製作所」で経営者として第二の人生を送っている 佃航平(阿部寛)。一度はあきらめかけた佃の夢であったロケット製造を、自社が開発したバルブシステムを使用し、日本を代表する大企業・帝国重工の純国産ロケット開発計画「スターダスト計画」により実現するなど、順調な佃製作所だったが…。
ある日、帝国重工の社長交代により、スターダスト計画は次回で終わるかもしれない――と帝国重工宇宙航空開発部部長の 財前(吉川晃司) から告げられ、佃はショックを受ける。ロケット製造に関わることは佃の夢であるとともに、今や「ロケット品質」を掲げる佃製作所社員たちの精神的支柱にもなっていたのだ。
そこへ追いうちをかけるように、大口取引先の農機具メーカーから小型エンジンの取引削減を告げられる。性能よりもコスト重視という考えに、技術力が売りの佃製作所は存在意義が揺らぎ始め、佃は強い危機感を抱く。
そんな中、佃製作所の経理部長・殿村(立川談春)の父親が倒れる。殿村の実家は三百年続く農家。父親の看病と畑仕事の手伝いに、週末ごとに帰省する殿村を見舞う佃と 山崎(安田顕)。トラクターを運転する殿村をじっと見て、佃はあることに気づく。それは、佃の中に新たな夢が生まれた、瞬間だった──。

引用元:日曜劇場 下町ロケット あらすじ

単純な疑問点

ダイダロスの「動けばいい!」

象徴的な言葉です。ドラマの中では、品質の面で評判が悪いとされているので、
なぜ技術力の農業機械ヤマタニの新社長が言いくるめられてしまうのかがちょっと不思議です。

機械には寿命があることはご存知だと思います。このため、年2、3回動かす程度の機械などは
動かす頻度が少ないので、品質が悪くても長く使えると思われがちです。
しかし、真実は逆です。機械もある程度の頻度で使用しないと劣化が激しく進むのです(人もそうですが、空家などとと同じですね)。

農業機械の田植え機は田植えの時期しか使わないので、まさにその典型といえます。
つまり、農業機械などで品質の悪いものを部品として使用すると、すぐにクレームになってしまうのです。

まあ、採用されるポイントは、最終顧客の個人農家が購入できるよう安くしたい!ということだとは思いますが・・・

用語の解釈

佃製作所の「ロケット品質」とは?

これも、下町ロケットのなかで、説明しているようで説明していない用語です。気になります。
ロケットは、宇宙に飛ばされるものですね。
そこで、JAXAが平成25年に制定した宇宙転用可能部品の宇宙適用ハンドブック(ロケット編)
を調べると、以下のような記載が見出されます。

・・・・な市場要求に応えた結果、最新技術の適用されている部品が数多く供給されている。しかしながら、国内の宇宙用部品については需要が少ない上、環境、品質、信頼性要求が非常に厳しいため供給が限定されている。

引用元:宇宙転用可能部品の宇宙適用ハンドブック(ロケット編)4.1 宇宙適用の概念と基本フロー

即ち、ロケット品質とは、環境、品質、信頼性要求が非常に厳しい条件をクリアしたものであると言えます。

例えば、通常、温度が100度から-40度で動けばいい部品に対して、
ロケットであれば、200度から-100度で動作しなければいけない、といったことになるということです。

実際に、人工衛星に搭載されるパソコンや制御システムは、
壊れにくい何世代も前のものを搭載するといったことを聞いた事があります。

こういった観点で、第1話の会話をもう一度振り返ると、ギヤゴーストに対する大森バルブと佃製作所のエンジンバルブのコンペで勝った要因は、
コストではなく、部品数の違いでした。
一般に、部品数が多い場合のメリットは次のようになります。

  •  複雑な形状や構造とすることができる。

デメリットは次のようになります。

  •  組立て工数が多いので、コストが下がらない、
  •  部品数も多いので不良率があがる、組立て不良もでやすい、
  •  組立て後に振動や温度変化などで形状・構造が崩れやすい(耐久性が低い)。

一般に、部品点数が少ない場合のメリットは次のようになります。

  •  部品数が少ないのでまだ低コスト化の可能性がある、不良率が下げられる、組立て不良が出にくい
  •  組立て工数が少ないので、コストを下げられる
  •  組立て後に振動や温度変化などで形状・構造が崩れにくい(耐久性が高い)。

デメリットは次のようになります

  •  複雑な形状を正確に出しにくい

ギヤゴーストは、佃製作所の研磨力の高さについて評価しましたが、
研磨により正確な形状とする技術力の高さを見たのだと思います。

まとめると、ロケット品質とは、
部品的にタフであり、壊れにくく、環境変化があっても品質変動しない
ということができると思います。

佃製作所の社長の人柄そのものともいえるかもしれませんね。

なぜ、エンジンの出力むらがトランスミッションの改良につながるの?

下町ロケット第1話トラクター

これは、農業機械の構造に由来します。
通常、自動車にもエンジンとトランスミッションはついていますが、
エンジンもトランスミッションも、ほとんどタイヤを回転させるためだけに使用します。
しかし、農業機械のエンジンは農業機械を移動させるタイヤを回転させるだけでなく、田んぼを耕すための動力にもしています。
つまり、農業機械のエンジンには、タイヤからくる負荷と、田んぼを耕す際の負荷とがかかり、自動車とは負荷が異なるのです。
農業機械ではエンジンがたくさん回転することで、タイヤも耕す部分についている刃の部品もたくさん回転するのが基本の構成です。
そして、エンジンの回転比率と刃の回転比率の割合をかえるのもトランスミッションの役目となるわけです。
トランスミッションでその比率を変更することで、
柔らかい田んぼであっても硬い田んぼであっても安定した作業を行うことができることになります。

ここで、注意すべきことがあります。
田んぼは当たり前ですが、まっ平らではないことです。
更には、土は例え毎年耕してても、硬いところもあれば柔らかいところもあるのです。
このため、耕す田んぼのなかで、硬いところでは、耕す部分の刃を多く回転させるためトランスミッションを変更してもあまり十分な対応ができない可能性があるのです。

こんなときには、農業機械を扱う人は、エンジンの出力を変化させてうまく対応させようとするのですが、結果的にエンジンにも人に負荷より多くかけ、寿命を短くしたり、早期に壊れたりしてしまうのです。

と、以上のような背景があり、「エンジンの出力むら」や「トランスミッションの改良」といったことが、出てきている思われます。

まとめ

今回は、以下の気になる用語について、個人的な経験と知識とから書かせていただきました(すみませんがあくまでも個人的な意見です)。

  • 単純な疑問
    ダイダロスの「動けばいい!」
  • 用語の解釈
    佃製作所の「ロケット品質」とは?
    なぜ、エンジンの出力むらがトランスミッションの改良につながるの?

今後も、これらの用語は大切なキーワードです。ぜひ豆知識としてください。

弁理士の側面としては、今回トランスミッションの技術知識をお伝えしましたが、
次回は、特許侵害についてですね。

特許侵害は弁理士の私も起きることはいやですが、お伝えすることが満載となる予感がします。

もし、わからない部分や疑問点などありましたら、ぜひコメントまたはお問い合わせください。

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